骨太な生徒に

略歴
昭和57年4月 高岡商業高等学校 教諭
平成 7年4月 富山高等学校 教諭
平成26年4月 富山県経営管理部文書学術課
主幹
平成28年4月 桜井高等学校 校長
平成30年4月 富山高等学校 校長

本年4月から本校に着任いたしました。
卒業生(90回)の一人として、8年間在職した国語科教諭として、そして、3度目は校長として母校に赴任し、大きな喜びを感じるとともに、身の引き締まる思いをいたしております。

さて、現在は、過去を基準にしていては対応していけない時代になりつつあるといわれております。 その典型的な例として、将来、AI技術によって人間の仕事の半数が機械に代替されるという未来予測があります。

しかし、AI技術がどんなに進歩しても、機械は人の言葉や行動の「意味」を理解することはできないと言われ、また、人が最後まで優位性をもつのが、「思いやりの心」、何もないところから何かを作る「創造力」、答えのない問題に自分なりの答えを見つけられる「問題解決力」であるともいいます。そして、人工知能では置き換えることのできない「志」「感性」も重要だといわれます。

本校では、多彩な教育活動や外部のスペシャリストと接する機会を設けています。それらをとおして、将来にわたって生き残れる力を身につけさせたいと考えています。大学合格という目標は、もちろん大切ですが、もっと先を見越した骨太な教育を展開したいと思っています。

今から7年前の東日本大震災の際、被災後の避難所での生活等を通して明確になったことは、家族や地域の「絆」の強さの重要性でした。人が身につけた衣食住に関する能力とそれらを存分に発揮したことによる被災者相互の献身的で意欲的な取組みが、あの困難な状況を乗り切った原動力であったといわれています。本校では、探究科学科をはじめとして、校内の学習のみならず、校外にも活動の場を広げ、外部の多くの人とのつながりの中で、人としての生きる力も学んでおります。

このような状況にあって、「富山高校」の目指す生徒像とは、きわめてシンプルで、骨太なものであると私は感じています。校訓も「慎重敢為」というたった四文字です。この四文字の奥にある意味は、生徒たちが三年間掛けて実践していく中で体得できるものです。体得するために、二つの言葉を入学式では銘記してほしいと伝えました。
一つめの言葉は、「富山高校生として、当たり前のことを、一生懸命やること」です。幕末の思想家吉田松陰が、自分の役割がわからない、という門下生に対して言った「至誠(しせい:このうえなく誠実なこと、まごころ)を貫くこと」を引用して、普段やらなければならないことを、真剣に、本気で、絶対に手を抜かないでやっていたならば、いつか自分の役割や、やりたいことが必ずわかると伝えました。

もう一つは、「力を尽くして狭き門より入れ」という言葉です。安易な目標設定や楽をしてその場限りでいい加減にすまそうとする堕落した姿勢を排除し、困難を覚悟しつつも、敢えて高い目標を設定して、思い切って取り組むことを求めました。

先輩諸氏や保護者の皆様のご協力のもと、生徒の自己実現に向けて教職員一丸となって取り組んでまいりたいと思っております。
今後とも同窓の皆様には、本校教育に対する一層のご理解とご支援を賜るようお願い申し上げ、着任にあたってのご挨拶とさせていただきます。

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