
略歴
昭和49年3月 富山県立富山高等学校理数科卒業
昭和53年3月 東京大学法学部卒業
昭和53年4月 日本国有鉄道入社
昭和62年4月 東海旅客鉄道㈱入社
平成14年6月 同 総務部長
平成18年6月 同 人事部長
平成20年6月 東海旅客鉄道㈱ 常務取締役総合企画本部長
平成24年6月 同 代表取締役副社長
平成30年4月 同 代表取締役社長(現職)
大学を卒業して1978年に当時の国鉄に入社しました。
その後、1987年の国鉄の分割民営化でJR東海に移りました。JRでいうと、富山県はJR西日本のエリアなのでJR東海は馴染みが薄いと思いますが、東海道新幹線と東海地域の在来線を運営しており、富山との関わりでいうと、高山線は猪谷を境に、そこから南がJR東海の運営となっています。
私は法学部を出た事務系で、国鉄時代から今のJR東海の中でも予算や人事・労務系の仕事が長かったのですが、2008年からは超電導リニアによる中央新幹線(以下、リニア)を担当するようになり、2018年に社長になってからもリニアの建設を推進することが仕事の中で大きなウェイトを占めています。リニアは1964年に開業した東海道新幹線が、その後の日本社会に大きなインパクトを与えたのと同じような可能性を持つ新しいインフラです。この機会に紹介させて頂きたいと思います。
リニアの特色は、何といっても時速500㎞というスピードです。走行の方式は、車輪がレールの上を回転して進むのではなく、超電導磁石を搭載した車両が、レールではなくて、U字型で両側にコイルを取り付けたガイドウェイと呼ぶ構造物の間を路面から約10センチ浮上して走行します。1997年以来、山梨県に設けた実験線で走行試験を繰り返し、2009年には国土交通省からも実用化が可能との評価を受け、既に技術的には完成しています。現在は、品川から名古屋までの建設に取り掛かっており、完成後は、大阪にむけて延伸する予定で、品川から名古屋まで40分、大阪まで67分となります。
リニアの建設目的は、現在、日本経済の大動脈としての役割を果たしている東海道新幹線のバイパスとしての役割です。1日に48万人にご利用頂き、大きな役割を果たしているだけに、地震などの大災害で機能が果たせなくなるリスクを避けることです。加えて、そのスピードによって、東京から名古屋、大阪という日本経済の中核をなす3地域を1時間強で結ぶことで、この3つの地域を巨大な1つの都市圏とする効果は、人口減少が進み活力低下が懸念される日本経済を活性化することが期待されています。
さて、「これからはテレビ電話とか、IT技術の発展で、人が移動しなくても用事は足せるのでは」という意見もあります。しかし、私は、いくら情報技術が進んでも、直接会うことが持つ大きな役割には取って変わることができないと思っています。JR東海では、発足当初に「シンデレラ・エクスプレス」というキャンペーンを行いました。テーマ曲の山下達郎のクリスマス・イブは今でも、大変人気の高いクリスマスソングですが、これは遠距離恋愛を題材にしたもので、恋人や肉親、友人などと直接会うことの大切さをアピールして大きな共感を得ました。実は東海道新幹線は、CMのテーマの私的な旅行より、ビジネス目的でのご利用が多いのですが、東海道新幹線のご利用がIT技術の進化の中でも増え続けているのは、ビジネスパーソンも会うことの重要性を実感しているからだと思います。
私自身、東京で高校時代のクラスメートと年に何度か集まって歓談しますし、年に1度は理数科のクラスを2年にわたって担任された神島先生が上京され、在京のクラスメートが集まり楽しい時間を過ごしますが、会うこと自体、掛け替えのない大切な機会と感じています。そして、私が今、取り組んでいるリニアは、「会うのが一番」という貴重な価値の増進に大きく貢献できると思っています。